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よっちゃんの ここだけのはなし Vol.46

ページID:0054363 更新日:2022年8月12日更新 印刷ページ表示

Vol.46 「資源を活かした相生ルネサンス」 -陸から海へ、海から陸へ-

 古今東西を問わず、陸路と海路は地域発展の要である。だから甲斐の武田信玄は海を求めて上杉謙信と戦い、徳川家康は陸路を抑えることで、外様諸大名を牽制できた。栄華を誇った城下町の多くも、陸路か海路のいずれかで他地域との交流を図った。さらにいえば、ちょうど百年前の日露戦争でも、連合艦隊がバルチック艦隊を駆逐し、制海権を握ったことが勝因の一つとなった。IT化が進み、情報化時代を迎えた今日でも、陸路と海路の重要性に寸毫も変わりはない。
 いま、全国各地で地域再生や活性化が目指されている。しかし、バブル経済の時と大きく異なり、新たな財政出動の余裕がある自治体は五指に余る。それどころか、行政経費の切り詰めに四苦八苦している地域がほとんどである。このため、既存の資源を活用し、創意と工夫による地域再生が目指されている。政府が推し進める構造改革特区や地域再生事業も、それぞれの地域の資源活用を後押しするためのものであるといえる。
 財政の逼迫は、相生市も例外ではない。市税などの激しい落ち込みに加え、近年の地方交付税の削減は、大きな痛手となっている。市の貯金に相当する財政調整基金も、かつての半分以下まで減少した。この3月、私は『財政SOS宣言(サバイブ・オープン・スリム)』を出し、市民の理解と協力を得ながら、これからの5年間で、財政の健全化を図る予定にしている。
 しかし、窮すれば、知恵を振り絞り、新たな発想も生まれる。そもそも本市の場合、資源としての陸路と鉄路がある。国道2号線・250号線と山陽自動車道が東西に走り、二年前からは相生駅停車の「ひかり号」も全面復活した。駅前広場の整備も相まって、播磨科学公園都市の玄関口としても機能しつつある。さらに本年3月からは、相生駅停車の新快速が増発され、京阪神方面へのアクセスがすこぶる便利になった。冬のカニの季節には智頭急行「スーパーはくと」も臨時停車し、日本海側と容易に往来できる。
 海路に向けた南の玄関を開けば、そこには相生湾があり、美しい瀬戸内海が広がる。30万トン級のドックが残るなど、相生湾の至るところが、「造船で栄えたまち」を静かに物語る。かつて相生と家島の間を行き交っていた航路も、この7月、不定期便ながら復活した。ドックも航路も、相生市のかけがえのない資源であり、資産である。
 もとより、それぞれの資源の付加価値を高めるのも方法である。だが、個々別々に活用するのではなく、むしろ、既存の資源をつなぎ合わせれば、波及効果は倍加する。言い換えれば、予算を費やした資源の積み上げではなく、掛け算による効果を最大限に引き出すことこそ時代の要請なのである。本市の場合、陸路と鉄路、そして海路の「三路」をつなぎ合わせ、地域再生の突破口にしたいと考えている。
 従来、とりわけ課題とされてきたのは、陸路と海路の結合である。すでに「あいおい白龍城」は、神戸と岡山を結ぶ国道250号線の唯一の「道の駅」として指定されているが、これに「海の駅」としての機能も併せ持たせ、水陸両用拠点にすることが必要となる。公共桟橋やプレジャーボートなどの係留施設が整備がされ、「白龍城」が二つの駅を兼ね備える施設となれば、陸路と海路は名実ともに一点でつながる。二つの「駅」を兼ね備えることは、全国でも極めて珍しい。
 この構想が実現すれば、陸路から海路に出る、海路から陸路に入るヒトやモノの量は飛躍的に増える。家島や小豆島などの観光地との定期船を結ぶことが可能になるだけでなく、クルージングやレジャー関係の雑誌にも取り上げられるなど、本市の知名度とイメージの向上につながり、本市を訪れる人が増えることも期待される。相生湾のカキなど、海産物の需要も高められる。
 さらに相生湾は「みなとオアシス」としても蘇り、本市、さらには西播磨全体の活性化にも結びつく。県の推し進める「西播磨なぎさ回廊計画」との相乗効果も期待され、本市の歴史や文化を全国に発信できる。こうした形での他地域との連携、地域力の結集も、これからますます求められる。
陸・鉄・海の「三路」の結合と連携は、小さな一歩かもしれない。だが、最小限の投資により、最大限の効果を引き出せる切り札である。「三路」の結合による相乗効果を発揮することこそ、相生市、そして西播磨の潜在力を大きく開花させる近道であると確信している。
 ここだけのまじめなはなし

2005年9月16日 相生市長 谷口 芳紀 


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