○相生市文化財保護条例

昭和57年3月30日

条例第12号

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第98条第2項の規定に基づき、法及び兵庫県文化財保護条例(昭和39年条例第58号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財を除き、市の区域内に存するもののうち重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もつて市民の文化の向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例で「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。

(市民の心構え)

第3条 市民及び文化財の所有者その他の関係者は、文化財の保護に対する意識を高め、市がこの条例の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならない。

(財産権の尊重及び他の公益との調整)

第4条 市及び教育委員会は、この条例の執行に当たつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

第2章 市指定有形文化財

(指定)

第5条 教育委員会は、市の区域内に存する有形文化財のうち、重要なものを市指定有形文化財に指定することができる。

2 前項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ、その所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。

3 第1項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ、条例第33条に定める文化財保護審議会(以下「審議会」という。)に諮問しなければならない。

4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知する。

5 第1項の規定による指定は、告示があつた日からその効力を生ずる。

6 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該市指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。

(解除)

第6条 市指定有形文化財がその価値を失つた場合、その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による指定の解除には、前条第3項から第5項までの規定を準用する。

3 所有者は、市指定有形文化財の解除の通知を受けたときは、速やかに、指定書を教育委員会に返還しなければならない。

(管理)

第7条 市指定有形文化財の所有者は、この条例及びこれに基づく教育委員会が定める規則(以下「規則」という。)により、市指定有形文化財を管理しなければならない。

2 市指定有形文化財の所有者は、専ら自己に代わり当該市指定有形文化財の管理の責に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(届出事項)

第8条 市指定有形文化財の所有者又は管理責任者は、次の各号の一に該当するときは、速やかに教育委員会に届け出なければならない。

(1) 市指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、き損し若しくは盗難にあつたとき

(2) 市指定有形文化財の所有者が管理責任者を選任又は解任したとき

(3) 市指定有形文化財の所有者又は管理責任者が変更になつたとき

(4) 市指定有形文化財の所有者又は管理責任者が氏名若しくは名称又は住所を変更したとき

(5) 市指定有形文化財の所在の場所を変更しようとするとき

(修理の届出)

第9条 市指定有形文化財の所有者又は管理責任者は、市指定有形文化財を修理しようとするときは、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、次条の規定により許可を受けなければならない場合は、この限りでない。

(現状変更等の制限)

第10条 市指定有形文化財の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、あらかじめ、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については規則で定める維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執るとき、保存に影響を及ぼす行為についてはその影響が軽微であるときは、この限りでない。

2 教育委員会は、前項の許可を与える場合においては、市指定有形文化財の保存のために必要な限度において条件を付すことができる。

(管理又は修理の要請)

第11条 市指定有形文化財の管理が適当でないため、当該市指定有形文化財が滅失し、き損し、又は盗難のおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を講ずるよう要請することができる。

2 市指定有形文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者に対し、その修理について必要な措置をとるよう要請することができる。

(管理又は修理の補助)

第12条 市指定有形文化財の管理及び修理につき多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の理由があるときは、市はその経費の一部に充てるため、当該所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の規定により補助金を交付するときは、教育委員会は、その補助の条件として、管理又は修理に関し必要な事項を指示することができる。

(補助金の返還)

第13条 前条第1項の規定による補助金の交付を受ける所有者が次の各号の一に該当するに至つたときは、市は当該補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は当該所有者に対し既に交付された補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

(1) 管理又は修理に関し、この条例又は規則に違反したとき

(2) 補助金の交付を受けた目的以外に補助金を使用したとき

(有償譲渡の場合の納付金)

第14条 第12条第1項の規定による修理に係る補助金の交付を受けた市指定有形文化財の所有者は、当該修理が行われた後、当該市指定有形文化財を有償で譲渡する場合は、規則に定めるところにより、全部又は一部を納付金として市に納入しなければならない。

2 補助に係る修理が行われた後、当該市指定有形文化財を市に譲り渡した場合その他特別の理由があるときは、市は納付金の全部又は一部の納付を免除することができる。

(公開)

第15条 教育委員会は、市指定有形文化財の所有者に対し、教育委員会の行う公開の用に供するため、当該市指定有形文化財を出品することを要請することができる。

2 教育委員会は、市指定有形文化財の所有者に対し、当該市指定有形文化財の公開を要請することができる。

3 第1項の規定による出品のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。

4 第1項又は第2項の規定により出品し又は公開したことに起因して当該市指定有形文化財が滅失し、又はき損したときは、市は所有者に対し、通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者の責に帰すべき理由により滅失し、又はき損した場合はこの限りでない。

(報告)

第16条 教育委員会は、必要があると認めるときは、所有者又は管理責任者に対し、当該市指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

(権利義務の承継)

第17条 市指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、当該市指定有形文化財に関し、この条例に基づいてする教育委員会の要請、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。

2 前項の場合には、旧所有者は、当該市指定有形文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引渡さなければならない。

第3章 市指定無形文化財

(指定)

第18条 教育委員会は、市の区域内に存する無形文化財のうち、重要なものを市指定無形文化財に指定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による指定をするに当たつては、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となつている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

3 第1項の規定による指定又は前項の規定による認定をするには、教育委員会は、あらかじめ、審議会に諮問しなければならない。

4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体に通知する。

5 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。

6 前項の規定による追加認定には、第3項及び第4項の規定を準用する。

(解除)

第19条 市指定無形文化財がその価値を失つた場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなつたと認められる場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その認定を解除することができる。

3 第1項の規定による指定の解除又は前項の規定による認定の解除には、前条第3項及び第4項の規定を準用する。

(保持者の氏名変更等)

第20条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が、名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも代表者(保持団体が解散した場合は代表者であつた者)について同様とする。

(保存)

第21条 教育委員会は、市指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、適当な措置を執ることができるものとし、市は、保持者又は保持団体に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第12条第2項及び第13条の規定を準用する。

(公開)

第22条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し、市指定無形文化財の公開を要請することができる。

2 前項の規定による市指定無形文化財の公開には、第15条第3項の規定を準用する。

第4章 市指定有形民俗文化財・市指定無形民俗文化財

(指定)

第23条 教育委員会は、市の区域内に存する有形の民俗文化財のうち重要なものを市指定有形民俗文化財に、無形の民俗文化財のうち重要なものを市指定無形民俗文化財に指定することができる。

2 前項の規定による市指定有形民俗文化財の指定には、第5条第2項から第6項までの規定を準用する。

3 第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定には、第18条第3項の規定を準用する。

4 第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定は、その旨を告示する。

(解除)

第24条 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財が、その価値を失つた場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による市指定有形民俗文化財の指定の解除には、第6条第2項及び第3項の規定を準用する。

3 第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定の解除は、第19条第3項の規定を準用する。

(現状変更等の届出)

第25条 市指定有形民俗文化財の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 市指定有形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届け出に係る現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な事項を指示することができる。

(保存)

第26条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定無形民俗文化財の保存のため適当な措置を執ることができるものとし、その保存のために要する経費は、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。

(準用規定)

第27条 第7条から第9条まで、第11条から第17条までの規定は、市指定有形民俗文化財について準用する。

第5章 市指定史跡名勝天然記念物

(指定)

第28条 教育委員会は、市の区域内に存する記念物のうち、重要なものを市指定史跡名勝天然記念物(以下「市指定記念物」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定には、第5条第2項から第6項までの規定を準用する。

(解除)

第29条 市指定記念物が、その価値を失つた場合その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 前条の規定による指定の解除は、第6条第2項及び第3項の規定を準用する。

(土地の所在等の異動の届出)

第30条 市指定記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があつたときは、所有者(第32条で準用する第7条第2項の規定により選任した管理責任者がある場合には、その者。)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(現状変更等の制限)

第31条 市指定記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、あらかじめ、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については規則で定める維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執るとき、保存に影響を及ぼす行為についてはその影響が軽微であるときは、この限りでない。

2 教育委員会は、前項の許可を与える場合においては、市指定記念物の保存のために必要な限度において条件を付すことができる。

(準用規定)

第32条 第7条第8条第1号から第4号まで、第9条第11条から第14条まで、第16条及び第17条の規定は、市指定記念物について準用する。

第6章 補則

(文化財保護審議会)

第33条 文化財の保存及び活用に関し、教育委員会の諮問に応じ、審議し及びこれに必要な調査研究を行うため、教育委員会の附属機関として、審議会を置く。

(審議会委員)

第34条 審議会委員(以下「委員」という。)の定数は10人以内とし、文化に関し高い識見を有する者のうちから教育委員会が委嘱する。

2 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(委任)

第35条 この条例の施行について必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、昭和57年4月1日から施行する。

(相生市の特別職に属する非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 相生市の特別職に属する非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和32年条例第2号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう略〕

相生市文化財保護条例

昭和57年3月30日 条例第12号

(昭和57年3月30日施行)

体系情報
第14類 育/第3章 社会教育
沿革情報
昭和57年3月30日 条例第12号